社会派の作品を数多く手がけた
漫画家の榎本由美さん。
リアルな人間ドラマで
読者の心を動かし続けてきました。
実は榎本由美さんは、
ホラーやレディースコミックから
キャリアを始め、晩年には
AIアートやNFTにも挑戦していました。
今回は、榎本由美さんの
生い立ちからデビュー、そして
漫画家としての晩年までを
わかりやすくまとめてご紹介していきます。
知るほどに魅力があふれる
榎本由美さんの人生を、
一緒に振り返っていきましょう。
榎本由美のプロフィール

・名前:榎本由美(えのもとゆみ)
・生年月日:1965年(享年60歳)
・出身地:非公表(東京都在住と記載あり)
・職業:漫画家・漫画原作者
イラストレーター・NFTクリエイター
・デビュー年:1986年
榎本由美さんは、
レディースコミックからキャリアを始め、
やがて「現実の中の痛み」を描く
社会派漫画家として知られるようになりました。
特に、児童養護施設や
不妊治療といったテーマに真正面から向き合い、
“生きることの重さ”を読者に
静かに伝える作風が支持されてきました。
晩年はデジタル技術にも積極的で、
AIアートやNFT作品を発表し、
「漫画の表現はまだ進化できる」
という信念を持ち続けていました。
SNSでもファンとの距離が近く、
作品だけでなく言葉にも
人柄がにじんでいました。
特にXでは、創作の裏側や日常を
ユーモアを交えて発信しており、
読者との温かい交流が印象的でした。
榎本由美の学歴・出身校は?

榎本由美さんの学歴は
正式には公表されていません。
しかし、本人のブログや過去の発言、
そして同世代の漫画家の経歴などから、
その学びの背景が少しずつ見えてきます
| 学歴区分 | 内容 | 備考・根拠 |
|---|---|---|
| 高校 | 東京都または近郊の公立高校(推定) | 出身地は非公表だが、デビュー当時「東京都在住」と記載あり。編集者証言で「福井県出身」説も存在(株式会社ユサブル・編集A氏、2025年追悼投稿より)。 |
| 大学/専門学校 | 美術系専門学校卒、または大学中退(推定) | ブログで「デッサンを少し勉強した」「大学は行ってない」と記載(ブログ『ああ不妊治療』2023年投稿)。 |
| 専攻分野 | デザイン・色彩構成など | 作画力と構図力の高さから、美術系教育を受けた可能性が高い。 |
| 在籍期間 | 1983年〜1985年前後 | 18歳で高校卒業、21歳でデビューのため、2年間の在学が自然。 |
| 発言引用 | 「漫画は独学だけど、デッサンは少し勉強した」 | 2016年30周年記念展パンフレットにて発言。 |
| 最終学歴 | 美術系専門学校卒(推定) | デッサン・色彩構成など基礎を学び、作品に反映。 |
学生時代に培った「観察眼」
榎本由美さんは、子どもの頃から
「人の顔を見るのが好きだった」
と語っています。
(出典:ブログ『ああ不妊治療』2021年投稿
「子どもの頃から人の顔を見るのが好きだった」)
この観察する習慣が、
のちの作品で描かれるリアルな
人物描写につながったと考えられます。
デッサンで鍛えた構図感覚と、
人の心を読み取る力が融合し、
現実に寄り添う表現スタイルを確立していきます。
「漫画が私の大学」学びと独学の融合

榎本由美さんは、
自身の学び方についてこう語っています。
「大学は行ってないよ。漫画が私の大学!」
(Xリプライ2022年)
(note『未発表短編の裏話』2024年)
形式的な学歴ではなく、
経験から学び続ける姿勢。
それが榎本由美さんらしさの象徴です。
専門学校で得たデザインの基礎と、
独学で磨いた観察力が合わさり、
彼女独自の作風を形づくりました。
“学びを止めない姿勢”は、
榎本さんの創作人生そのものでした。
榎本由美の経歴・時代と共に進化し続ける活動

榎本由美さんは、1980年代後半から
長く第一線で活躍してきた漫画家です。
恋愛・ホラーから社会派作品まで
幅広く手がけ、現代日本の
「見えない痛み」を描き続けました。
| 年代 | 主な出来事 | 補足・代表作 |
|---|---|---|
| 1986年 | 新書館『グレープフルーツ』でデビュー | 短編『サムタイム・サムシング』発表 |
| 1980〜90年代 | ホラー・レディース漫画で注目 | 『ソニア』『Feel』『Hime』などで女性心理を描く |
| 1990年代後半 | 社会派テーマへシフト | 実話劇画・家庭問題を題材に活動拡大 |
| 2000年代 | 『児童養護施設の子どもたち』連載開始 | ケータイ漫画王国で人気シリーズ化 |
| 2010年代 | 不妊治療や虐待など社会問題を継続取材 | 『新・児童養護施設の子どもたち』で共感を集める |
| 2020年代 | 電子書籍・note・AIアートに挑戦 | SNSでの発信やNFT活動を展開 |
| 2025年 | 最後の作品『ママはもう来ない』連載 | 同年11月、急性呼吸不全のため逝去(享年60) |
ジャンルの変遷
榎本さんのキャリアは、
「少女漫画 → ホラー →
社会派実話 → エッセイ漫画」
と進化していきました。
それぞれの時代で共通していたのは、
“人の痛みを見つめるまなざし”
フィクションであっても
現実を感じさせる筆致で、
読者の心を静かに
揺さぶり続けたのが榎本さんの特徴です。
代表的な活動スタイル

・フリーランスとして複数出版社で執筆
・ブログやnoteを活用して創作記録を公開
・取材を重ね
実話をもとに脚色するスタイル
・電子書籍・SNSを
通じて読者と直接つながる
この柔軟な活動スタイルこそ、
紙媒体からデジタル時代ま
で生き抜いた理由といえるでしょう。
晩年の創作と“描く覚悟”
晩年の榎本さんは、
病を抱えながらも執筆を続けていました。
森園みるくさんとの
合同展に向けた新作下描きを、
残したまま筆を置くこととなります。
その姿勢には
「最後まで描きたい」
という情熱があふれており、
ファンからは
「作品が生き方そのもの」と評されました。
榎本由美の人間味溢れるエピソード3選!

創作の裏には、
強さと優しさが同居していました。
榎本由美さんは、
作品だけでなく人とのつながりの中でも
多くの人の心を動かした方です。
同郷の編集者との“静かな絆”
榎本さんは、福井県出身とされる
編集者A氏(株式会社ユサブル所属)と
新人時代から長年の交流を続けていました。
編集者が追悼で語った言葉
「彼女は“怖い話を描く人”で
ありながら誰よりも
優しくて繊細な人だった。」
お互いに同郷で同い年ということもあり、
仕事を超えた“心の同志”として
支え合っていたそうです。
イベントで見せた母としての一面

約25年前、横浜で行われた
出版社合同イベントでは、
榎本さんが幼い息子さん
を連れて参加していました。
三家本礼さん(漫画家)と挨拶を交わした際、
息子さんが思わず手を引っ張るという
微笑ましいハプニングがあり、
会場中が笑いに包まれたといいます。
その後も家族を
大切にしながら創作を続けた榎本さん。
作品の根底にある
「母性」や「家族の絆」は、
こうした日常から自然に
生まれていたのかもしれません。
同業の仲間たちに慕われた存在
漫画家の流水りんこさんは、
榎本さんについて…
「いつもパッションにあふれていて
気にかけてくれる優しい人」と語っています。
子どもたちを一緒に遊ばせることも多く、
家庭と創作の両立に奮闘する
仲間として信頼を寄せていました。
榎本由美の代表作を振り返る

榎本由美さんは、ジャンルにとらわれず
多様な作品を生み出してきました。
恋愛、ホラー、そして社会問題――
どの時代も“人の心の奥にある痛み”を
描き続けていたことが特徴です。
| 作品名 | 発表年 | 掲載誌/概要 |
|---|---|---|
| サムタイム・サムシング | 1986年 | 『グレープフルーツ』(新書館)デビュー作。若者の恋愛を繊細に描いた短編。 |
| 夜の囁き | 1988年 | 『ソニア』(秋田書店)。女性心理をモチーフにした心理ホラー。 |
| 鏡の中の私 | 1989年 | 『Feel』掲載。幻想的な描写とリアリズムが融合した異色作。 |
これらの作品で
「感情の描写がリアル」と注目を集め、
榎本さんの基盤となる
“人間観察の深さ”が確立しました。
| 作品名 | 開始時期 | 内容・特徴 |
|---|---|---|
| 児童養護施設の子どもたち | 2000年代 | ケータイマンガ王国で連載。実在する児童養護施設を取材し、現実に基づいた人間ドラマを描く。 |
| 壊れる家庭 | 2005年 | 家庭崩壊や虐待をテーマにした実話劇画。強い社会的メッセージで話題に。 |
| 独裁者と籠の小鳥 | 2010年 | 小学館アンソロジー『棄てられた子供達』に収録。暴力と救済を対比させた名作。 |
社会の“見えない現実”を
可視化するこの時期の作品は、
社会派漫画として高く評価され、
多くの読者に影響を与えました。
| 作品名 | 発表時期 | 概要 |
|---|---|---|
| ああ不妊治療~マリア様もびっくり処女懐妊~ | 2022〜2024年 | 自身の不妊治療体験をもとに描いたエッセイ漫画。Amebaブログ・Kindleで連載。 |
| ママはもう来ない | 2021〜2025年 | 電子コミック誌『ebigcomic4』掲載。児童養護テーマの集大成となる作品。 |
| AI生成・不妊治療の女神(NFTアート) | 2019年〜 | デジタルと漫画表現を融合した実験的作品。AIアート黎明期に挑戦。 |
晩年の榎本さんは、自身の経験をもとに
“現実を描く漫画”を追求しました。
社会派でありながら、どの作品にも
「希望」と「再生」の
メッセージが込められています。
作品の魅力と共通テーマ

・人の弱さを真正面から描くリアリティ
・読後に静かな余韻を残す心理描写
・社会問題を感情の
物語として昇華する構成力
・現代的テーマをわかりやすく伝える表現
榎本さんの作品は、
“読む人の心に寄り添う漫画”として、
時代を超えて共感を呼び続けています。
社会情勢や日常を描く作品は
時として自分に置き換え
共感できる思うことが多々あります。
同じく漫画家のムキ子さんの作品は
「あーそれ!」と思わず
言葉が出てしまうほど。
以前ムキ子さんについて
詳しく書いた記事があるので
この機会により多くの漫画家さんに
触れてみると価値観が変わるかもしれません。
榎本由美のwiki経歴|生い立ちから漫画家としての晩年を徹底解説!まとめ

榎本由美さんの人生は、
“人の痛み”とまっすぐに向き合いながら、
描き続けてきた歩みでした。
社会派漫画家としてだけでなく、
一人の女性としても、
現実を見つめる強さと
優しさを持ち合わせていました。
リアルを描く勇気。
変化を恐れない柔軟さ。
人とつながるあたたかさ。
そのすべてが、
榎本由美さんという人を形づくっています。
最後までペンを握り続け、
描くことを生きる力に変えていた榎本由美さん。
これからも彼女の作品は、
多くの人の心を静かに照らしていくでしょう。

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